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トキワ荘を取り巻く人々



 トキワ荘組といえば手塚治虫や石ノ森章太郎などビッグネームのマンガ家で有名だが、トキワ荘組と交流のあったトキワ荘通い組もなかなかのビッグネームのマンガ家が多く、最近はトキワ荘通い組の方にも興味を持つようになった。

 ホラーマンガの先駆者で有名なつのだじろうが、落合の自宅からスクーターで足繁くトキワ荘に通っていたというのは有名な話だが、ゴルゴ13で有名なさいとうたかをは石ノ森章太郎とは大親友だったし、あしたのジョーで有名なちばてつやも石ノ森章太郎や赤塚不二夫とは親交があったと聞く。釣りキチ三平で有名な矢口高雄はちばてつやと一緒に晩年の石ノ森章太郎と地元の玉川温泉に湯治に行ってたと聞く。

 さいとうたかをは常日頃から石ノ森章太郎を天才で自分は職人だといってたが、その言葉に対して石ノ森章太郎は職人の方がカッコいいじゃないかと返していたと聞く。
 事実さいとうたかをは石ノ森章太郎を天才と賞賛しつつも、天才にはなれない自分の劇画職人としての仕事には明らかに矜持のようなものを感じる。
 ゴルゴのいうところの10%の才能とはさいとうたかを自身のことをいってるように思われるが、30%の臆病さとは慎重さというかマネジメント能力や経営能力ではないかと思われる。


 近年ではトキワ荘の語り部のような存在ともいえるちばてつやだが、そうなったのもトキワ荘の住人の大半が鬼籍に入ってしまっているというのもあるだろう。
 近年のちばてつやを通して語られるのは、実際に親交のあった石ノ森章太郎や赤塚不二夫のことである。
 担当編集者とふざけてプロレスの技をかけるか何かして突き飛ばされたときに、窓ガラスに突っ込んで腕を切ってしまい利き腕を怪我したときに石ノ森章太郎と赤塚不二夫に頼み込んで原稿を代筆してもらったことがあったらしい。
 先日やってた石ノ森章太郎展では石ノ森章太郎とちばてつや本人が仲良く温泉に浸かってる絵を描いてたが、ちばてつやの目を通して語られる石ノ森章太郎はいつも優しいまなざしをしていた。


 今回の記事では石ノ森章太郎と親交のあったさいとうたかをとちばてつやのことを取り上げたが、まったく作風のちがう3人にも実は最大の共通点がある。
 それは3人とも手塚治虫から、自分の描いたマンガに難癖をつけられたことがあるということである。
 石ノ森章太郎は実験的マンガともいえる『ジュン』を発表したときに、「あんなものはマンガじゃない」と難癖をつけられたことがあり、さいとうたかをは「こういう子供らしくない絵はよくない」と難癖をつけられたことがある。
 手塚治虫が「こんなマンガのどこが面白いんだ」と泣いて悔しがったというマンガはどうやら『あしたのジョー』だったらしいが、手塚治虫が『あしたのジョー』を見て泣いて悔しがったという話を聞いたちばてつやは思わず嬉しくなったという。
 そしてその話を聞いた自分は、やっぱり手塚治虫はカッコいい男が嫌いなのかなと思った。
 手塚治虫のアトムや火の鳥やブラックジャックも好きだが、より感情移入しやすいキャラクターといえばやはりジョーになるだろうか。
 手塚治虫のマンガはどれも面白いが、キャラクターが俯瞰的な視点で描かれてるせいかどうしても距離を感じてしまう。
 俯瞰的視点を持つ手塚治虫は宇宙や巨大なものなどが出てくる、火の鳥のような壮大なスケールのSF作品を描くのは得意としていたが『あしたのジョー』のような肉薄した格闘系の劇画は描けなかった。


 後にも先にも手塚治虫を泣いて悔しがらせた唯一のマンガが『あしたのジョー』ということを考えると、ふたりの天才の手で生み出された『あしたのジョー』は不世出の名作だったのだなと思う。

※次回の更新は13日(水)の深夜0時過ぎになります。

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ASDponch

Author:ASDponch
地上最強の芸術の場外乱闘者を目指し日々孤軍奮闘する自閉症スペクトラム障害(ASD)ponchの自堕落な日常と、社会からはみ出したアウトサイダーの駄話を書いています。
最近はすみっこぐらしにもハマってます。すみっこ仲間絶賛募集中ッッ\(^o^)/

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